チューリヒ
7月15日(土)
今日は、ルガーノからチューリヒへの移動日だ。しかし、ルガーノでの滞在には十分満足した。これで、旅が終わりでもよかったくらいだ。しかし、次はチューリヒだ。ECに乗り、チューリヒ中央駅に向かう。中央駅からはトラムNo.7に乗り、モルゲンタル(Morgental) 停留所に着いた。チューリヒに来て、急に人の接し方が雑になったような気がした。皆忙しいのだ。そんな雰囲気だ。トラムの切符を買うときは幸運だった。トラム7の乗り場には来たものの、切符の買い方が分からないでいると、黄色いジャケットを着ている人が係りだと教えてくれた。大きなお金しか持っていなかったので、係の人が両替してくれて、切符を買うことができた。少しずつ、スイスのシステムに慣れてくる感じだ。
ユースホステルへはモルゲンタルから歩いて5分ほどで着いた。しかし、ドアを開けようとして、ブザーらしきものを押してもドアが開かない。困った。ドアは故障か。ユースホステルの建物を通り過ぎると車を出し入れするところがあり、人がいる。その人に聞いたら、いぶかしげにしながらも、中へ入れてくれた。
2泊予約してあったので、そのことを伝えて手続きをする。が、1日分しか受け取った領収書には書かれていない。そこで、申し込みが別々だから、そうなっていて、一度チェックアウトしてもう一度チェックインしてもらわなければならないと言い出した。そんな不便なことは困るので、なんとかしてくれるように言う。別々に申し込んだのは、ちゃんとメールで指示されたからだとも伝えた。すると、なんとかしてくれた。ここでも、しっかりと自己主張することの大切さを感じた。
部屋へ入った。中に2人滞在していた。ロッカーの鍵のかけ方を教えてもらい、大きな荷物をしまう。ベッドは2段ベッドの2階だ。少し横になってくつろぐ。夕食はユースホステルでするとして、それでも時間がある。そこで、行きにチューリッヒからルガーノへ行くときに若い女性から教えてもらった、チューリッヒ湖の方へ出てみることにした。
来るときに乗ったトラムですぐにチューリッヒ湖に出た。白ソーセージがおいしかった。リマト川沿いに歩いて、カフェテラスで少し休息する。揚げたてのポテトは最高においしかった。生まれて初めてだ。こんなにおいしいポテトは。ここで、ビールという手もあったが、少し時間が早かったので、控えることにした。スイス人達は飲んでいたから、飲んだらよかった。まだ、アルコールには自信が持てないでいる。
船着き場で、朝10時から出発する遊覧船があることをチェックし、ティファニーを横目に歩いて、中央駅の方に行った。
ユースホステルに戻り、夕食を取ろうとしていると、日本人男性、60歳、に出会った。噴水を作る会社の社長さんで、今は引退して一人旅を楽しんでいるそうだ。隣にオーストラリア人の青年が食事していて、一緒にしゃべった。ご老人(失礼)は、シベリア鉄道を利用してヨーロッパまできて、次は、サンモリッツだと行っていた。これからは40代の人に頑張ってもらわないと行けない。私らは、ひっこんどるから、お金だけちょうだいと、都合のいいことをおっしゃっていた。日本人で一人旅をしているのは、女性では見かけるが、男性は少ないということだった。ディナーはたいしたことなかったが、値段を考えると贅沢は言えない。
7月16日(日)
ここでも朝食は、付いていた。ユースホステルでも余り変わらない内容だ。今日も一日順調に滑り出した。がそうは問屋が卸さなかった。食事をして、トラムでチューリッヒ中央駅に出た。そこで、思いがけないことに遭遇した。何と時計が1時間くらい遅れていたのだ。どうしてだかさっぱり分からない。ルームメートがいたずらしたのだろうか。考えられなくもない。何せ、旅行中こんなことがあったのは、この朝だけだったのだから。
このため、午前中に予定していたチューリヒ湖遊覧はあきらめざるを得なかった。そこで、午後からのトローリーバスでの市内観光をすることにした。出発まで時間があったので、橋をわたって、リトマ川の反対側を散策した。途中、昨晩話をした日本人男性にばったりと出会った。少し立ち話をして別れた。ふらふら見物するのがいい。全部見て回らなければいけないと思わない方がよいと言ってくれた。
トローリーバスでも思わぬことがあった。本来のトローリーバスが故障で動かないのだ。そのため普通の観光バスを使用することになったのだが、これには日本語音声ガイドがついていないので、英語でのガイドの案内に頼ることになった。これが分かり難い。チューリッヒ工科大学や、アインシュタインがそこで研究していたこと、ノーベル賞受賞者が二十何人いるということは印象に残った。途中何カ所かで下車して見て回った。
しかし、やはり言葉の壁は大きい。話の内容がよく分からなかったので、印象に残ったところはあまりない。
チューリッヒ湖での遊覧はあきらめていたのだが、何とトラムの一日券を利用して、バスやボートが乗れるという。遊覧船ではなく上等のボートではないが、リマト川の方をボートに乗って楽しむことができた。
夜は、ユースホステルに戻ってディナーだ。今日のディナーはさらにお粗末だ。が、贅沢は言えない。安いから。
夕食後、暇なのでロビーを歩いていたら、またあの日本人男性に出会った。今日は、日本人女性 2 人とバーで飲んでいる。ちょっとのつもりで話の中に加わった。が、延々話が盛り上がって続いた。ほとんどは日本人男性の自慢話だが、ためになることも言ってくれた。ギター職人を彼氏にしているという若い女性は手紙で知らせてやると言っていた。女性は、東大阪出身の人で、近鉄電車でお会いするかも知れませんねと話した。もう一人の女性も同じくフランスに留学しているのだが、三重県出身だ。何か縁を感じてしまう。
話が長く続いたので、明日のことを考え、私が一番先に失礼することにした。